ヤマガタンver9 > 豊川炭鉱馬車鉄道という幻 〜米沢に鉄道馬車が走っていた〜 第十一回

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▼豊川炭鉱馬車鉄道という幻  〜米沢に鉄道馬車が走っていた〜  第十一回

◎豊川炭鉱及び人車鉄道計画の諸表

明治30年10月29日、30日の米澤新聞に創業の概算、営業損益が掲載されているので詳細を見てみる。尚この時点ではまだ馬車鉄道ではなく人車鉄道の計画となっていることをお断りしておく。

〇米沢小松間人車鉄道敷設概算

一金一万九千七百六十七円五十銭固定資本額

内訳

金一万三千五百円 九ポンドレール九哩(マイル)

         但し一哩千五百円

金四千五十円   右敷設但一間五十銭枕木共

金三百三十七円五十銭 市中レール中敷木

         但し一間三十七千五厘

金百八十円    右敷設費但し一間二十銭

金六百円     貨車四十輌但し一台十五円

金五百円     客車十輌但し一台五十円

金一百円   クロッシング五組但し一組二十円

金五百円     創業費

〇人車鉄道営業損益予算

一金八千百七十円         (収入総額)

内訳

金六千二百五十円 貨物運賃二万五千駄

但し一駄二十五銭

金一千九百二十円 旅客金一千六百人

但し一人二十銭

一金五千二百三十四円        (支出総額)

内訳

金二千二百五十円 貨物運送人夫給料但し一駄九銭宛二万五千駄分人夫一人一日四十五銭

金七百二十円   客車用人夫給料但し客車引人夫一人にて三人乗り一車持ちにて往復す

金百円    レール修繕費

金八十円   橋賃費但し一ケ月十円宛八ケ月分

金八十円   客車修繕費但し一ケ月一台一円宛

金百六十円  貨車修繕費但し一ケ月一台五十銭

金二百円   社長給料

金三百六十円 事務員給料二人分一人一ケ月十五円

金三百八十四円 店員四名給料但し一人一ケ月八円

金三百六十円 家賃二ケ所但し一か所一ケ月十五円

金二百四十円 事務所費二ケ所但し一ケ月十円

金百円    監査役給料但し二人分

金二百円   取締役給料但し四人分

金四百円   雑費

差引金二千九百三十六円       (純益金)

    (以上明治30年10月29日米澤新聞)

〇豊川炭鉱起業概算

一金一万〇百二十六円九十五銭  固定資本額

内訳

金三千九百八十六円 鉱区譲渡金

   九十五銭五厘 但し坪一銭五厘宛

金二千四百円    木道敷設費但し鉱区より手野子迄二千四百円地代共

金二百円      開坑費但し一坑道四十円宛

          にて五坑道分

金二百円      器械器具費但し鶴嘴唇鍬鏨粮槌等四十人分

金四百五十円    坑夫部屋建築費但し一坪十五円宛建坪三十坪

金百六十円     事務所建築費但し一坪二十円

          建坪八坪

金一千八百円    馬買入費十五頭分但し一頭

六十円づつ(計算合わず・注)

金六百円    馬車馬具買入費但し一頭分二十円

金百八十円   運炭車十二台但し小松米沢間使用

金百五十円 運炭車十台但し鉱区より手野子間使用

金九十五円五十五銭 予備費

〇炭鉱損益予算

一金二万三千七百円         (収入総額)

内訳

金一万九百五十円  米沢市売上金

但し一俵三十銭宛にして三万六千五百俵

金二千七百円    小松町及び近在へ売上金但し一俵二十七銭宛にして一万俵

金一万五十円    長井町宮内町及近在売上金但

         一俵三十銭にて三万三千五百俵

一金一万五千三百五十四円      (支出総額)

内訳

金三千円  馬糧費三十頭分但し一日一頭四十銭宛

金二千六百二十五円 馬丁給料三十人分

但し一人一日三十五銭

金一千九十五円   米沢市小松町間運賃但し一俵

三銭宛にて三万六千五百俵分

金二千八百円    石炭採掘費一俵三銭五厘宛にて八万俵分

金一千二百円    坑木費一俵一銭五厘宛にて八万俵分

金四百円      坑内運搬費但し一俵五厘づつにて八万俵分

金六百四十円 選炭並びに造炭費但し一俵八厘づつ

金一千二百円    鉱区より手野子迄運賃但し一俵一銭五厘づつ八万俵分

金八百円   人物代八万俵分但し一俵一銭の割り

金百五十円     諸公税

金百六十円     木道修繕費但し一ケ月二十円づつ八ケ月

金七十五円  蹄鉄費三十頭分但し一円五十銭づつ

金四十五円     馬具修繕費三十頭分但し一頭一円五十銭

金三百円   技師給料一人分一ケ月二十五円づつ

金三百円   事務員給料二人分但し一人一ケ月十五円一人十円

金百円    家賃一ヶ年分但し手野子貯炭庫一棟

金六十円    雑費一ヶ年分但し一ケ月五円づつ

金三百二十八円   馬車並運炭車修繕費但し馬車一台一ケ月一円運炭車五十銭

差引金 八千三百四十六円        (純益)

(以上明治30年10月30日米澤新聞)

当初から利益が確保されるという見積りであるが、株主はその辺をどう見ていたのだろうか。


2018/07/09 18:16 (C) 珈琲豆屋です!
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