ヤマガタンver9 > 栄枯盛衰

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▼栄枯盛衰

毎年のことですが、山形は1月、2月は雪の中です。今年も正月から今までは雪がない日が続きましたが、先週からいつも通りの風物詩となりました。当地には最上川が流れており、その東側と西側では降雪量が非常に違います。みゆき整形外科クリニックは最上川の東側にあるので白鷹町の西地区や長井市と比較すると雪の量が少ないです。外来でいつも「こっちは雪が少ないですねー。」と患者さんに言われますが、東京の人に言わせたら「目糞鼻糞を笑う」で、どっちにしたって大雪に見えるはずです。「前世で悪い事をしたからお互いに雪国に生まれて毎年大変な思いをしているのですよ、たぶん。」と患者さんと慰めあっています。早く春になって、オートバイで疾走したいものです。
冬の外来では、患者さんはよく「寒いと痛む。」とおっしゃいます。私は、「そうですか。そうですよね。でも、ここは北国だから耐えるしかないのですよねー。それが嫌だったら沖縄かハワイで暮らしましょうね。私もハワイで暮らしたいが、また何億円も借金したので、一生ここにいるしかないのですよ。お互いにあきらめて少しでも暖かくして暮らしましょうね。」と患者さんとお互いに慰めあっています。
月曜日から土曜日まで、朝クリニックに来てから帰るまで、昼飯10分で食べる以外は働き通しです。さすがに還暦を過ぎると3時間以上外来をしているうちに疲れてきます。そんな時はつい患者さんに対してぐちが出るようになりました。「つくづく疲れたからもう死にたい。」。そうすると決まって「先生にいなくなられると困る。」という言葉が返ってきます。最初は「医者がいなくなると困るから仕事しろとはなんて自分勝手な患者達だ。」と、思っていましたが、最近は私に対する応援と思うようにしています。人間は必要とされているうちが花なのです。年を取れば容姿はだれでも衰える。しかし、必要とされているうちは輝いている花なのだと考えて、明日も頑張ろうと思います。
みゆき整形外科クリニックも介護老人保健施設白鷹あゆみの園もそれぞれ、19年、12年が経過し、あちこち修理が必要なところが目立ってきました。それでしょっちゅう修繕するのですが、「ぼったくり」されているのではないかと思われる位に高い事が多い。業者に対しては、かなりな不信感を持っています。医者と患者は信頼関係がなければ、良い医療はできません。同様に商売においても信頼関係があって初めてうまく行くものだと思います。相手に不信感を持たれるような商売をしている○○商事。お宅の会社は大丈夫なのですか。驕れる者は久しからずですよ。あの東芝や東京電力を見ると、栄枯盛衰はこの世の必須の出来事である事がよくわかります。世の中のためになる事をしている会社が長く繁栄して行くのだと思います。私も「自分は世の中のために働いているのだろうか。」と常に自問自答しながら仕事をしていきたいと思っています。
人も万物も栄枯盛衰は必須です。施設で生活している方もいずれは神に召されていきます。しかし、最近、私には「本当にこれで良いのだろうか。」という疑念を持っている事があります。
施設では、世間の多くの人達が望んでいる「安楽な死」はありません。家族の方達が看取りを希望された場合には、その方が急に容態が変わってもそのまま文字通り「看取り」をさせていただいています。その方達の多くは、苦しそうな顔も見せず、「そっと」なくなられる方が多いです。いわゆる「安楽な死」とでもいうべき最後です。しかし、そうでない方の場合は、蘇生術をしたり、救急車で病院に連れて行ったりします。蘇生術時、高齢で骨粗鬆症の方の場合には有効に心臓マッサージをすると肋骨が折れることが多いです。その方が眠るような「安楽な死」を迎えたのではないかと思われる場合でも、施設としては、家族からクレームをつけられないように蘇生術を必ず行います。そのような時には、この人は安楽に旅立ち、三途の川を渡ろうとしているのに自分達は「死者に鞭打つ!」様な事をしているのではないかと、疑問に感じます。何でもかんでも急変時には病院に連れて行けという家族が結構いますが、いずれ必ずそのご家族の方々も死を迎えます。その時どのように自分は扱われたいかを考えていただいて、父母の最後の扱いをどうしろというのか、我々にお伝えいただきたいと思います。という事で、先ほど、施設では「安楽な死」はないと言いましたが、正しくは「安楽な死」でないことが多い、です。
子供が生まれてから大人になるまで、医者や学校の教師任せにしているくせに自分が子供を育てているつもりになっている人間が非常に多いと、休日診療所の当直の日には特に強く感じます。そのような人間が、自分の親も人任せにして他人に預けっぱなしにして、親の死に目に際して他人に文句を言う。それは人として恥ずかしい事ですよ。自分を振りかえってわが身を直しましょう。

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