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▼変わる看取り

 超高齢化社会の日本では、死者の数もうなぎ上りに増えています。葬儀屋、坊さんは大忙しの丸儲け。医者はただ忙しくなるだけ。それとも忙しいのは私だけか?
 今回、私が所属する長井市西置賜郡医師会主催の「地域在宅医療推進研究会」に参加しました。そこで「一般診療所での自然な形の在宅医療−在宅死と向き合ってー」という講演を聞きました。10年前までは、日本では人が死ぬ時は特別な場合を除いて、病院で死を迎えるのが一般的でした。しかし、超高齢化社会を迎え、また、国の強力な医療費削減政策と相まって(私はそのやり方において悪政と思っていますが、今回は詳しく話をするのは控えます。)、病院にはそういつまでも入院しておられず、自宅、施設で亡くなる方が確実に増えています。
私の施設でも、もはや病院でも治る見込みがない人の最後を看取る機会が多くなりました。気圧の関係からか午前零時から早朝にかけて亡くなる方が多いという印象を持っているのは私のみならず医療関係者、葬儀屋さんの多くがそう思っていると思います。私は、亡くなった方が出た場合には、いつも大急ぎで施設に行って死亡の確認をし、死亡診断書を書いて、その後、ご遺体が施設を出られる時まで残ってお見送りをしてきました。
 しかし、還暦を迎え、夜中に起こされるのはかなりつらくなりました(特に平日。その日に朝から外来があるので)。また、田舎における人口減少で、葬儀屋さんでは夜中に勤務できる職員数が確保できず、1時間半も離れた米沢市からわざわざ葬儀屋さんが来る事も最近多くなりました。そんな場合には、私は、呼ばれてから自宅に戻るまで3時間以上かかり、帰宅する頃には空が白々としていることも多いです。亡くなった方に対する礼儀と思ってきましたが、さすがに医師が少ない東北地方では、死にあたっての対応も変わってきているということをその講演で知りました。在宅では深夜12時から早朝にかけて亡くなった場合は、早朝に医師が出かけて行って死亡確認をし、死亡診断書を書くのだそうです。施設でも同様の事がなされているとの事。びっくりしましたが、みんなにメリットが大きいということも知りました。
様態が急変した方の場合、また、ご家族の方がずっと深夜帯も付き添っていられる場合は別ですが、もう施すすべがなく、お亡くなりになることを待っているような方(看取りの方)の家族にとって、夜中に起こされて慌ただしく葬式の準備を夜中からする場合、その肉体的、精神的負担は大変なものです。まもなくお亡くなりになられるのが分かっている方に対しては、事前に親族の方々に最後のお別れに来ていただき、いつお亡くなりになっても、みんなが働きだす日中に事を進めるのが理にかなっています。実際その講師の先生の所ではそうされているのだそうです。
当施設、また私が嘱託医を務めている特別養護老人ホーム「マイスカイ中山」でも今後はそうさせていただきたいなと思っています。深夜帯で不幸にしてお亡くなりになった看取りの方の場合、早朝までご遺体に今まで生活していたその部屋に留まっていただき、医師の死亡確認後、ご家族に連絡をし、医師の死亡診断書が出来上がり次第、葬儀社を呼んでいただき、葬儀社がご自宅までご遺体をお届けするというものです。皆様方のご意見を頂戴したいと存じます。繰り返しになりますが、様態が急変した入所者の方と、ご家族が深夜帯も付き添われている場合は別です。その場合には時間に関係なく、すぐに医師が飛んで駆けつけるというのは当然の事です。


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