ヤマガタンver9 > DC-DC>昇圧IC HT7750Aの出力電圧変更

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▼DC-DC>昇圧IC HT7750Aの出力電圧変更

DC-DC>昇圧IC HT7750Aの出力電圧変更/
1.5V〜3Vの電池から5Vを得る昇圧用スイッチング電源ICとして、
HOLTEK社のHT7750Aが知られている。

HOLTEK社サイト
http://www.holtek.com/english/

HT7750Aのデータ
http://www.holtek.com/english/docum/consumer/77xxa.htm


一見トランジスタのような形状をしているが、昇圧型のスイッチング電源回路が
内蔵されており、ダイオードとコイル、そして平滑・安定用のCを外付けするのみで
昇圧回路が完成するというもの。

本ICの基本的な事項は、下記サイトで詳細が説明されているので、ここでは割愛する。
「気の迷い」様サイト
http://www.kansai-event.com/kinomayoi/
HT7750に関する記事
http://www.kansai-event.com/kinomayoi/koneta2/HT7750.html


※類似機能のICは、電池式の携帯電話充電器や、100円ショップで扱われている
「USB充電電池ボックス」にも使用されている。



さて、本ICの出力電圧は基本的には固定であり、データシートの回路(図上)では
設計値以外の電圧を出力する事はできない。

しかし最近ネット上に、出力回路を細工する事で本来の電圧より高い電圧を得る方法がいくつか紹介されている。

一つは昇圧用のダイオードの出力と、ICのVOUT端子間にダイオードを入れて電圧をシフトしようというもの。(図左下)
もう一つは、上記のダイオードの代わりに抵抗を入れる方法である。(図右上)

このICはVOUT端子で電圧を検出し定電圧動作を行うので、ダイオードの出力(昇圧出力)と、ICのVOUT端子間に「細工」をして電圧をシフトさせれば、出力の電圧を変える事が出来る。

ただし、注意しないといけないのは、このICのVOUT端子は、電圧の検出だけでなく、本ICの動作電源を兼ねているという点。
先の2つの方法のうち、後者の抵抗を入れる方法は、抵抗にICの動作電流が一緒に
流れる事から、電圧降下(電圧のシフト量)がICの動作電流に左右され、誤動作や、
出力電圧の安定性の面で疑問のあるところ。
(後者のダイオードを入れてシフトする方法は、その点では問題は少ない。)


私は、後者の抵抗を入れる方法を一歩進め、ICの動作電流に左右されにくいよう
低め値の抵抗を2本使用し「分圧」してからICのVOUTに接続する方法を提案したいと
思う。

2012/01/09 02:09 (C) JR7CWK'sぶろぐ

▼DC-DC>昇圧IC HT7750A>VOUT端子に流れ込む電流の測定

DC-DC>昇圧IC HT7750A>VOUT端子に流れ込む電流の測定/
基本的なデータして、最初にVOUT端子に流れ込む電流を測定した。
その結果、印加電圧により電流が大きく変化する特性がある事が判明。
特に5Vを超えると一気に電流が低下する特性が見られた。

データシートではVOUT+0.5V印加で、Typ.5uA,Max10uAとある。
データシートを良く確認せずに測定した為、印加電圧がデータシートの指定とは
異なり、電流が低下した電圧(+0.15V)での測定値となってしまったが、
5Vで120uA流れていたものが、一気に5.9uAまで低下した。

この特性からもわかるように、抵抗だけ入れる方法は、やはり良くない。


なおLX端子に電圧が現れるのか同時に確認したが、VOUT端子からLX端子に
リークする経路がないのか、電圧は現れなかった。


なお、本測定に使用した電源および計測器は下記の通り。
電源:LM317使用自作(10回転ポテンショにて電圧微調整可,元の電源は10V)
電圧・電流測定:格安のデジタルテスタDT-830B
2012/01/09 02:11:cwk

▼DC-DC>昇圧IC HT7750A>昇圧能力の確認

DC-DC>昇圧IC HT7750A>昇圧能力の確認/
手持ちの部品で昇圧回路を組むにあたり、この部品で最大電圧がいくらになるのか
確認する為に、電圧検出が効かない回路(図参照)にて電源電圧対、出力電圧および
電源電流を測定してみた。

実はこの回路、以前「白色LED点灯用簡易DC-DCコンバータのアイディア」
(下記アドレス)として紹介したものの出力に整流・平滑回路を追加したもの。
http://samidare.jp/jr7cwk/lavo?p=log&lid=172614

ただし、本回路はメーカーが想定している回路ではない為、何が起こっても自己責任。


測定は無負荷で行った。
その結果、1.2V付近で8.8V,1.5V印加で8.9V程得られている。

ただし、無負荷にもかかわらず80〜120mA程流れている。
このような大きな電流が流れているので、電圧をあまり上げる気にはなれず、
測定は1.5V止まりとした。

無負荷にもかかわらず大きな電流が流れてしまう事は、先の「白色LED点灯用簡易
DC-DC〜」の実験でもうすうす感じてはいたのだが・・・

この回路では、LX端子にのみ高い電圧が印加される事で、IC内に想定されていない
経路で電流が流れているものと推測される。しかしこの電流がIC内で何処にどのように
流れているのかは知る由もなく、この辺の本当の事情はメーカーでないとわからない
であろう。

以下はあくまで想像であるが・・・
LX端子に接続されているのはスイッチングFETのドレイン端子のみではないのかも
知れない。
例えば、寄生ダイオードがありそれに電流が流れているとか、LX端子の印加電圧を
クリップする為のツェナーダイオードが入っているとか・・・

<2012年1月21日追加>
HT7750Aのブロック図見たら、「LX Limiter」と書かれた回路がぶら下がっているのに気がつきました。
どうも、こちらに流れているみたいです。

「LX Limmiter」は、OSCやスイッチング用MOSFETのBufferに行く経路があるようなので、LX端子の電圧?をfeedbackする動作でしょうか。
その動作が関係するかどうかは、波形見ないと判断できなさそうですが。
<追加おわり>

実験に使用した周辺部品は下記の通り。(後の実験も同様)

D:SD-103A (PANJIT/秋月(I-04271))
ショットキー,40V350mA,VF=0.7V@200mA

L:22uH (Core Master Enterprise/秋月(P-03964))
 マイクロインダクタ,直流抵抗1.2Ω(max),許容電流285mA(max)
→LED点灯目的で購入したものであり、電力を得る用途では適さないと思う。

C:22uF 16V タンタル(手持ち品)
2012/01/09 02:12:cwk

▼DC-DC>昇圧IC HT7750A>電圧変更回路の試作と特性

DC-DC>昇圧IC HT7750A>電圧変更回路の試作と特性/
抵抗分圧による電圧変更回路を試作し、特性を測定した。


本回路での出力電圧は下式により算出する。

出力電圧(V) = 5(V)*(R1+R2)/R2
(実際にはR1にVOUTに流れ込む電流が流れる事から誤差が生ずる)

実験に使用した抵抗の組み合わせは図右下の通り。
(半端な値の抵抗を使用したが、手持ちの都合。)

まずは無負荷での測定。
この結果、R1-R2が11k-43kの組み合わせ、及び22k-43kの組み合わせでは
ほぼ計算通りの出力電圧が得られ、電源電流も1mA程度と比較的少ない。
電源電圧を変化させても出力電圧はほぼ一定で、電圧のフィードバックも
うまくいっているようだ。

しかし、更に電圧をあげようと、43k-43kの組み合わせを試したところ、
電圧は9V程と計算値(10V)より低め、電源電流は25〜40mA程度と極端に増加した。
(電流が極端に増加したので、電圧は2V止まりとした。)

試しに抵抗の組み合わせを11k-11kに変更。(抵抗の比率は43k-43kと同じ)
電圧は9Vほどで43k-43k時とほぼ同じ(ただし、電源電圧が低いうちは電圧の安定性が
悪化。2V以上でほぼ安定。)だが、電源電流は最大で17mAと少なくなった。

電圧が9V程となったのは先に行った実験からも想定された通り。
電流の増加は何とも言えないが、抵抗を小さくした結果電源電流が減少した事から
R1に大きな値の抵抗を使用した場合は、VOUT端子に流れ込む電流の影響でVOUT端子の
電圧が低下し、スイッチング用のMOS-FETが十分にONしなくなる事が予想される。

以上の結果から・・・
・7.5V程度までの昇圧は、十分実用範囲。(この電圧なら、白色LEDの2個直列点灯も
十分可能)
・9V(006P電池代替を想定)はちょっと厳しい。

なおデータシートの最大入力電圧が6Vとある。回路が異なる事もあり「保証外」
の使用方法である事は否めない。
もし本回路を参考に回路を製作される場合は、各自の自己責任で行っていただきたい。
(事故が起こっても私は関知しない。)
2012/01/09 02:13:cwk

▼DC-DC>昇圧IC HT7750A>電圧変更回路の試作と特性2

DC-DC>昇圧IC HT7750A>電圧変更回路の試作と特性2/
(あまり良くない組み合わせであるが)11k-11kの組み合わせにおいて、
負荷接続時の特性を測定した。


負荷は約10mA(OPAMPを使用した自作の定電流電子負荷を使用)

効率が悪いのは、無負荷でも電流が流れていた事から想定内であるが、
負荷電流を流しすぎたのか、出力電圧のレギュレーションは良くなかった。
ここまで電圧を上げる組み合わせではやはり無理があるようだ。

出力電圧が「実用範囲」となる抵抗の組み合わせに変更した上で
再測定する必要がある。
2012/01/09 02:14:cwk

▼DC-DC>昇圧IC HT7750A>電圧変更回路 特性測定その3

DC-DC>昇圧IC HT7750A>電圧変更回路 特性測定その3/
前回、組み合わせの良くない抵抗比(昇圧し過ぎ)での測定だった為、
レギュレーションも効率も良くなかったので、抵抗比を変更して再測定を
実施した。

今回のR1-R2の組み合わせは、22k-43kと、11k-22k。
最初、22k-43kでの組み合わせのみ測定予定だったが、データを取った後、
R1の値がもっと小さいほうが良いかと思い、新たな組み合わせ11k-22kでの
測定を追加した。

負荷は前回同様、約10mAの定電流。
前回の測定結果と比較する形でグラフにしてみた。

結果的にはレギュレーションはあまり改善した感じがしなかったが、電源電圧が2.6Vを
上回った辺りからほぼ所定電圧が得られる感じとなった。

また電源電流が減少し、その分変換効率も前回40%前後だったものが70%前後と大幅に
改善が見られた。(効率は決して良い値とは言えないが、使用したLの直流抵抗が
大きい事が影響していると思われる。)

なお、22k-43kと11k-22kの組み合わせは、抵抗比がほとんど同じなので、計算上の
出力電圧も大きな差が出る事はないはずだった。
しかし、22k-43kの時は計算値に近かったのに対し、11k-22kの時の電圧は計算値より
0.7V程低下してしまった。


電圧が低下した原因は未調査だが、Lから発生する逆起電力のうち、計算値の電圧を
得るのに必要な波形のピーク部分はエネルギーの少ない領域であり、そのエネルギーが
抵抗に流れ込む事で計算通りの電圧が得られなくなっているものと推測している。
2012/01/11 02:03:cwk

▼昇圧IC HT7750A>電圧変更回路Ver.2

昇圧IC HT7750A>電圧変更回路Ver.2/
 昇圧IC HT7750Aでの出力電圧変更に関し、「トランス」を使用し積極的に昇圧しようと試みた。

 実験に使用した「トランス」は、鈴商で購入した100uAのトロイダル型。
 「トリファラ巻き」(3線が平行に巻いてある)ものと思い購入したが、実際は4線が巻いてあった。

 図は、実験回路及び、出力電圧及び変換効率のグラフである。
 コイルが4線巻いてあるので、コイルの比率を変えて4通りテストしてみた。

 結果的には効率,レギュレーション共、あまり良くなかったが、この位ならOO6P電池代わりに使えそうな気がする。

 なお試験回路は、ユニバーサルボードの半田面上に、リードを切断せずにパーツを取り付けているので、効率を悪化させている可能性がある。
2014/11/01 18:19:cwk
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